◉10月の誕生石
◉結婚14周年の石(アメリカ)
◉石言葉:幸運、希望、純真、無邪気、愛と美、才能の開花、忍耐
Opal・オパールはギリシャ語で「色の変化を見る」を意味する「opalios(オパリオス)」
これが転じてラテン語の「opalus(オパルス)」が語源。
ギリシャ・ローマ時代はサンスクリット語の「最上の石・貴重な石」という意味の「upala(ウパラ)」と呼ばれていました。
また「目の石」を意味する「ophthalmios(オフタルミオス)」とも呼ばれていた。
和名は蛋白石。
蛋は鶏の卵、白は卵白。
遊色効果のない白いオパールが白身に似ているのが由来です。
博物誌に書かれているオパール
西暦77年にプリニウスは「博物誌」の第37章「宝石の自然史」の第21章でオパールをこのように書いています。
あらゆる宝石の中でも最も表現が難しい石。
ルビーの鋭い輝き、アメシストの紫色の輝き、エメラルドの海のような緑を兼ね備えた宝石で、それらが溶け合いって信じられない輝きを放つ。
科学者ではないプリニウスは様々な色の宝石が詰まった石と考えました。
「pæderos(美しい若者)」
また別の人の言葉を借りて「燃える硫黄の炎」「油を注いだ炎」とも表現しています。
オパールは当時から偽物が出回っており、プルにウスは見分け方も書いています。
当時はインド産と思われていたオパールはハンガリー領であったスロバキアの山岳地方で採掘されていました。
ギリシャ・ローマ時代は上層階級の贅沢な嗜好品であった宝石。
プリニウスは宝石に価値の順番を付けています。
①ダイヤモンド ②真珠 ③エメラルド(緑色の石) ④オパール
①ダイヤモンドは現在のように研磨技術が発達しておらず、その硬さが評価されたようです。
③エメラルドも当時は成分分析が出来なかったので「エメラルドのような緑の石(マラカイトなど)」全般を指します。
オパールの種類
◉Precious opal・プレシャスオパール

オパールと言えば虹の色がキラキラと見え隠れする遊色効果(play of color)が浮かびます。
遊色効果で光るもの。
細かい分類は下記の通り
ーホワイト・オパール
半透明から乳白色の地色に遊色が現れるもの。最もポピュラーなオパール
ーブラック・オパール
グレーからブラックで反射光の下で黒色に見える地色に遊色を見せるもの。
処理石もあり、その場合は砂糖水に浸透し炭化させる。宝石としての価値は低い。
ーファイア・オパール
透明から半透明で赤・黄・オレンジなど暖色系の地色で燃える炎のような色のもの。遊色を示さないものもあるが、色の鮮やかさから人気がある。
ーウォーター・オパール
無色透明から乳白色の地色に遊色効果を見せるもの。
※写真の右がエチオピアのプレシャスオパール、左はコモンオパールのブルーオパール
◉Boulder opal・ボルダーオパール/Cantera opal・カンテラオパール

ボルダーは「塊」、カンテラは「母岩」の意味。
岩の隙間に作られて、岩石ごと楽しむもの。
※写真の小さい原石がボルダーオパール。黄色はコモンオパールのイエローオパール。
◉Common opal・コモン・オパール
光らない色付きのマットなもの
◉Hyalite・ハイアライト(玉滴石)
光らない無色透明なもの。
火山の噴気孔から噴き出した水蒸気から形成され、ウランを含むものはUVライトで緑色に蛍光する。

※写真はいずれもコモンオパール。
ピンクがピンクオパール。透明なものがハイアライト。水蒸気が固まったのが分かりやすい形です。
オパールの成分
火山で温められた熱中水に含まれるケイ素が沈澱して水温50度前後の低温時に形成されるのが火山性オパール。
オパールはケイ素と水分で構成された石。
小さなケイ素の球(シリカ球)が同じ大きさで規則正しく水分を伴って集まって固まっている。寒天のようなものでしょうか。
人工的なオパールは乾燥剤のシリカゲルです。
SiO2・nH2Oと化学記号は同じで水「H2O」が入っています。
水分が入らないと水晶になります。
光がシリカ球の隙間を通る時、光の色が分けられます。この現象を回折(かいせつ)と呼びます。
回折した光はお互いにぶつかったり、重なったりして干渉し色の強弱が生まれます。
シリカ球が小さいものから紫青緑黄オレンジ赤の順番で現れます。
直径0.15〜0.3μmだと青、0.2μm程度だと赤だそうです。ほんのわずかな大きさで変わるんですね。
シリカ球の大きさが違う場合は回折が起きず、マットなコモンオパールとなります。
隅々まで美しいオパールは無駄にカットすることなく、原石を上手く加工して愛用されます。
乾燥に弱く水分が蒸発すると割れてしまいます。
保管する場合はコップにお水などを入れておくと良いそうです。
産地と特徴
◉エチオピア
火山性で透明、白、黄、オレンジなど。水分量は約18%
◉メキシコ
火山性で透明、白、黄、オレンジ、赤など。水分量は役12%
◉オーストラリア
堆積性で青、白、黒など。水分量は約6%
世界の言い伝えや著名人との関わり
◉アントニウスはクレオパトラにプレゼントをする為に、元元老院ノニウスが持っていた巨大なオパールの指輪を譲ってもらおうとする。しかしノニウスは断固拒否をし、追放された。その後もオパールの指輪を手放すことがなかった。
この逸話にプリニウスは「たかが宝石の為に人を追放すうる人間、追放されても手放さない人間。どちらも愚か」と記しています。
◉ナポレオンは妻のジョセフィーヌに赤く輝く「トロイの炎」を贈った。
◉ローマ法王、ヴィクトリア女王も身につけていた。
特にヴィクトリア女王はオパールを生涯身につけていたと言われています。
◉古代ローマでは幸福をもたらす石と信じられ、原石を身につけていた。
◉不吉な石と呼ばれた時期もありました。
クンツ博士はサー・ウォルター・スコット作の小説「ガイアスタインのアン」の影響(不評被害)だと考察しています。
主人公のヘルミオールと彼女のオパールが付いた髪飾りが魔法にかけられます。主人公の感情に合わせてオパールは色を変えます。オパールの輝きが失われた時、主人公の命も終わりました。
◉シェークスピアは「あの奇跡、そして宝石の女王」と言葉を残している
◉オーストラリア先住民のアボリジニには「創造主が虹に乗って大地に降り立ち、全ての人間に平和の知らせを持ってきた」という言い伝えがある。
◉古代アラブでは「空から落ちてきた稲妻」と考え、身につけることで「自分には稲妻は落ちない」と信じていた。
◉宮澤賢治は雲、霧、煙など白っぽいモヤのようなものの表現として意識的に「オーパル」「蛋白石」「OPAL」「オパリン」を使い分けていた。
おまけ
◉おまけ1
コモンオパールの中で人気のピンクオパールは、palygorskite(パリゴルスカイト)という粘土の鉱物が入ることによりピンク色となることが分かりました。
現在、ピンクオパールは別鉱物であるということですが、「ピンクオパール」が通り名として確立されているので、鑑別ではこのような配慮された表記になっています。

◉おまけ2
ハイアライトはウランを含むものはUVライトで緑色に蛍光します。
標本はメキシコのサンルイスポトス産のもの。
ハンガリーのマトラフレッドサストゥ産のものは光りませんでした。

