ルビー

◉7月の誕生石(日本・アメリカ)
◉結婚40周年「紅玉婚式」(日本・アメリカ)
◉ギリシャ神話の軍神マルス=火星に対応
◉伝統占星術では太陽に対応
◉ナヴァラトナでは太陽(スーリア)に対応
◉タロットでは「4番・エンペラー」「16番・タワー」
◉生命の木では「2・コクマー」(スタールビー)「5・ゲブラ」
◉第1チャクラに対応

石言葉:情熱・勝利・勇気・威厳・自尊心

ダイアモンド、エメラルと、サファイアと並ぶ世界4大宝石の一つ。
「宝石の王」「宝石の女王」とも呼ばれています。


基本的に宝石なので、天然石のルビーとは雰囲気(美しさ)が異なります。

ルビーはコランダムという鉱物の「赤い」石を指します。
赤以外の色はサファイアと呼びます(青に限らない)

ルビーの赤はコランダムに微量に含まれたクロムに起因しています。

ルビー(Ruby)の語源諸説

”血液”を表すサンスクリット語の「rudhir」に由来していると言われています。

その後ラテン語の”赤”を意味する「ruber(ルーベル)」
→「rubia(ルビア)」
→古フランス語の「rubi(ルビ)」
→中世英語の「ruby(ルビー)」に訛りが変化したと言われています。

ラテン語には”赤味がかった”の「rubeus(ルべウス)」、”赤”を表す「rubinus」
→「rubine(ルーバイン)」になった説もあります。

「rubine」ルビーの旧称で、昔は赤い石を全て「rubine」と呼んでいました。

宝石のルビーが正式に認められたのは17世紀になってから。
和名では「紅玉」。

古代ギリシャでは”炭”を表す「anthraktes(アンスラック)」、古代ローマでは”小さな炭火”を表す「carbunculus(カルブンクルス)」から「赤い石炭」と呼ばれていた。

11世紀に書かれたボルボードの「宝石の書」では
「ドラゴンの額の真ん中に赤みを帯びた一つの目があって、カルブンクルスと呼ばれている。
カルブンクルスはどんな宝石よりも赤い燃えるような光を放っていて、
いかなる闇をもってしても、この晃々たる光を消すことはできない」
と書かれています。

産地

ルビーの採掘の最も古い記録は2500年以上前。

主な産地はミャンマー、タイ、カンボジア、インド、スリランカ、オーストラリア。
近年はケニア、タンザニア、モザンピーク、マダガスカルでも採掘されるようになりました。

ミャンマーのモゴック地方で産出されたものは深紅で透明度も高く美しいとされています。
「ピジョン・ブラッド(Pigeon Blood・鳩の血)」と呼ばれていて、その条件は美しさ+2カラットを超える大粒であること。
※実際には小粒でもピジョン・ブラッドとして売られている。

モゴックは紀元前6世紀頃より産地と知られていましたが、現在は鉱脈が枯渇しつつあります。
深く華やかな発色が特徴のモゴック産はUVライトにより蛍光の強い赤色になる(個体差あり)

1960年頃に発見されたタイ、1990年に頃に発見されたモンスーン産は母石が黒系の為、黒っぽいものが多いです。
2009年頃に発見されたモザンピーク産は少しオレンジがかったのが特徴。

言い伝え

【インド】

ルビーは「宝石の王(Ratnaraj)」であり、ラトナ(Ratna)」とも呼ばれ、太陽神の象徴でありました。
ルビーの中には消えない火があり、身につけた人は長生きをして、水を沸かすことが出来ると考えられていました。

太陽から力強さ、活力、幸運や守護。

【スリランカ】

ラーヴァナ(羅刹の王)の死後、その血がルビーに流れて赤くなったと言われています。
ラーヴァナは10の頭、20本の腕、胴色の体、月のように輝く歯、山のような巨体の鬼神。

【ミャンマー】

地下で死亡したドラゴンの血液が地下水脈を通って地上に出てルビーが作られた「ドラゴンの石」

力強さ、保護の象徴。

・伝説1

谷の王である老いたワシが鮮血の色をした新鮮な肉を見つける。
しかし百戦錬磨の鉤爪でさえ、その肉は掴めなかった。
ワシは「炎と大地かの血から生み出された聖なる石」と理解し、誰も手の届かない山頂にその石を運んだ。
その谷の名はモゴックといい、この石は世界で最初のルビーであった。

・伝説2

モゴックのルビーは人が降りられない深い谷底にある。
崖から肉を投げればルビーがくっつく。その肉をハゲタカが咥えて空に飛ぶ。
そのハゲタカを捉えてルビーを採取した。

【ギリシャ】

血のように赤いので軍神・マルス。
赤は情熱や欲望を想起させるので恋愛の女神・アフロディーテとも関連づけられた。

病気や災害から守る、勇気を高める、健康や安全のお守り。

【その他】

聖書にもルビーは登場します。
しかし18世紀頃までは赤い石は全てルビーと呼んでいました。
実際にはスピネルやガーネットだっと言われています。

女神

Sekhmet(セクメト)

ラーの片目から生まれたエジプト神話の破壊・疫病。癒しの女神。血を欲する女神。
「力ある物」の意味で雌ライオンで描かれる。

元々、ラーが無信心な人間を殺戮する為に人間界に送られた。
しかし、やり過ぎてしまった為、血の変わりに赤いビールまたはビールに柘榴を混ぜた物を飲ませて酔わせ、殺戮を止めました。

Befana(べファーナ)

イタリアの魔女。

毎年1月6日に行われる「エピファニア」(Epifania・公現祝)の起源となった魔女。
キリストの誕生を祝う為に東方の三賢人が立ち寄った宿にいた女性。
三賢人の誘いを断り、結局キリストにお菓子を届けられずに彷徨うことになりました。

良い子の枕元にお菓子をあげる。今のクリスマスに近いお祭りです。

ルビーの「赤」は「血」「炎」を連想させる為のお話が沢山です。

ルビーが登場する作品

◾️「Les Pierres Précieuses」4つの宝石:1900年
Alphonse Mucha(アルフォンス・ミュシャ)

「La Topaze(トパーズ)」「 Le Rubis(ルビー)」「 L’Amethyste(アメシスト)」「 L’Emeraude(エメラルド)」からなる4つの宝石をモチーフにした絵。

ミュシャが活躍したのはアールヌーボーの時代。

ルネ・ラリックも同時期ですが、「新しい芸術」を掲げ、モチーフには花や昆虫、自由曲線やモザイク模様、鉄やガラスなど新しい素材を積極的に取り入れました。

こうして見直すと細かい描写がリアル。
柔らかでロマンティック、少しエロティックに思えます。

「 Le Rubis(ルビー)」はポインセチアが全面に描かれ、女性の頭を飾るのはサクランボ。
また背景(円の枠部分)には唇の形のモザイク模様。
手に持っているのは柘榴にも見えます。

なぜ7月の誕生石なのか?

調べても正確な答えは見つかりませんでした。
なので仮説ですが。

現代では宝石の一番はダイアモンドと答える人が多いのではないでしょうか。
しかし、古代ではダイアモンドの価値は「硬さ」でした。

時代を経ながらカット技術が進み、ダイアモンドを最も美しく見せるブリリアンカットが登場します。
研磨する前のダイアモンドは決して輝いて見えるものばかりではありませんでした。
なので価値を決める「4C」の中に「カット」も入っています。

その点ルビーは赤く、自然のままで分かりやすく「美しい」
昔の人たちは赤いルビーに惹かれ、価値を見出し、身につけることで自分の価値としたのではないでしょうか。

スリランカの9つの惑星を対応させるナヴァラトナ、古典占星術ではルビーは太陽に対応します。
太陽がなければ生物は生きていけません。


昼の太陽、夜の月は生活に密着していた惑星。
この2つはセットとして考えられることも多いです。


占星術、生命の木で太陽は「自分自身」を表します。
タロットでは「自ら輝くこと」を指し、それを目標に生きていくことが大切だと言われています。

今なら「光ならダイヤモンドでは?」と思えます。

昔は「生きる・死なない」ことが何より大切。
「血」を連想させる言い伝えも多いので「生きるのだ!」という力と勇気を与えてくれる石です。
大切な太陽は「命」の色であるルビーに結びついたのでしょう。

カラーセラピー的に「赤」はNO。
生き抜く為に、自分を守る為には毅然とした態度が必要です。

自分が自分の主人となり、誰の僕にもなってはいけない。
それを教えてくれるのがルビーかもしれません。

また夏の暑いイメージ、汗をかいて生きている実感などが「赤」と結びついたのかも。

まだまだ書き足りないですが、またページを改めます。